この車はバイオ燃料で走行する自動車です。バイオ燃料とは主に植物性の物質から作られる燃料のことです。詳しく言うと、木材からエタノール、メタノール、植物油からメチルエステルを作り、これらを自動車の動力源として利用します。

しかし、バイオ燃料といっても、その形態には様々あってひとくくりにはできません。そのままエンジンで燃やされるものと、化石燃料であるガソリンや軽油と混ぜて使うほうしきがあります。昨今では、バイオエタノール、バイオエタノール混合ガソリン、バイオディーゼルと分けて呼ばれることが多いようです。

アメリカでは、ガソリンと9対1で混ぜた、E10燃料にバイオエタノールを使ったり、ヨーロッパでは、バイオディーゼルの利用が促進され、バイオ燃料実用化の道が模索されています。バイオ燃料自体の利点は、糖質から発酵して作られるエタノール、原料を燃焼することで出るガスを改質してつくられるメタノール共に、光合成をして成長した植物を原料としていることにあります。なぜなら、植物はもうすでに二酸化炭素を吸収しているので、製造段階で燃やしも、二酸化炭素が排出されないことにあります。

また、太陽と水さえあれば、育てることのできる植物を使うので、化石燃料のように埋蔵量に限りがあるものとは異なり、半永久的に燃料の原料を確保できるところが大きな利点といえるでしょう。そして、2003年に「バイオマス、ニッポン総合戦略」を策定し、石油に代わる環境にやさしいエネルギーとしてバイオ燃料を位置付け、自動車燃料としての利用を促進することを始めました。バイオ燃料車の利点は、排気ガス中に二酸化炭素がほぼゼロであることと、硫黄分がないので硫黄酸化物でないこと、そして、一酸化炭素、炭化水素、つまり、すすや黒煙が少ないことが挙げられます。

一方で、その欠点は、ガソリンと比べると、大量生産したときに割高になることが予測されています。また、貯蔵タンクや供給方式、車両などの、インフラを大幅に変更しなければならないので、多くの投資が必要になります。また、アルコールによる金属の腐敗や水分の流入による成分の分離を防ぐため密封性を高める方策が必要になるでしょう。
そして、排ガスについては、人体に有害であるアルデヒドを含んでいること、アルコール中に酸素を含んでいる為排ガスの窒素酸化物NOxが増加するため、これらの物質を無害化するための整備が必要になります。また、運転性能については、従来のガソリン車に比べると発熱量が少ないので燃費が悪いことと、蒸気圧が低いので冷間時の始動が悪いなどの点が挙げられます。

ガソリン自動車の代替燃料として実用化が進められているのが、バイオエタノールです。現在、酒造で作られているように、糖質やでんぷんを原料にエタノールは作られています。しかし、将来的には、廃棄物を原料に使われることを期待されています。また、沖縄県宮古島では、環境省がサトウキビの精糖の後に残った廃棄物を原料にエタノールを作る実証実験を行っています。また建築廃材や古紙に含まれるセルロースを原料とする案もあるそうです。

これによって、廃棄物が有用され、リサイクル効果を望める点で、とても環境にやさしい燃料ではないでしょうか。いまある、ガソリン車にバイオエタノールをつかうと不具合が生じてしまうので、国は2003年、揮発油質確保法を改正し、エタノール含有3パーセントの混合許容率を定めました。このエタノール混合ガソリンはE3燃料とよばれています。実際に経済産業省は石油精製施設など全国6箇所でE3燃料製造の実証実験を開始し、2012年にはバイオエタノールの全面普及を目指しているようです。またアメリカで使われているエタノール10パーセント含有のE10の導入を視野にいれて、ガソリンからバイオ燃料に自動車の燃料を切り替える方策を模索しているようです。

100年前、ディーゼルエンジンが開発された時、その燃料はピーナッツオイルでした。植物油に、メタノールを加えて、メチルエステルを生成しディーゼル燃料として軽油の代わりに使うことは、古くから行われていたのです。そして、現在この動きが始まっています。
特にドイツなどEUは、ディーゼル車回帰の流れの中、植物油を使ったバイオディーゼルを使う動きが活発化しています。日本では2003年バイオマス戦略が制定され、製造プラント22社が日本バイオディーゼル燃料協議会を設立したり、各自治体、企業でもバイオディーゼルを生成する試みが行われているようです。